- 不動産コラム
トルコ地震と建物の耐震性について
WHO提供
2023年2月6日にトルコ南部のシリア国境付近で起きた大地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
2月23日時点で、今回の地震での亡くなられた方はトルコとシリア合わせて4万7000人を越えています。
東日本大震災での行方不明者を含めて亡くなられた方は約1万8000人とされていますので、
このトルコ地震の被害がどれほど大きなものであるか、
更には、東日本大震災の際は津波での被害が大きかったことを考えると、
その被害の大きさに驚かされます。
ニュース映像を見ると、パンケーキクラッシュと言われる柱の倒壊により上の階から床が下に落ちてしまっている光景を見にします。
過去にも大きな地震が起こっているトルコにて、なぜここまで被害が甚大になってしまったのでしょうか。
また、日本でもこのような事態は考えられるのでしょうか。
煉瓦造り
まず、ヨーロッパでは多く見られる煉瓦造りの住宅はトルコでも多く存在しており、耐震性の低い煉瓦造りの建物が倒壊してしまった可能性が考えられます。
地震の少ないヨーロッパであれば煉瓦に比べ、地震大国であるトルコでは地震に対する対策はどのようにされていたのでしょうか。
テスト
機能しなかった耐震基準
地震の多いトルコでも当然、日本のように耐震基準が設けられています。
2018年にも刷新された耐震基準は、日本の現在の基準と同等、もしくはそれ以上の基準であるようです。
しかし、2018年以降に建てられた築浅の鉄筋コンクリートマンションも倒壊してしまったのです。。
それほどまでに大きな地震だったのかというと、もちろん大きな地震ではあるのですが、
ここまで倒壊する程の地震ではなかったようです。
ではなぜこのような被害となってしまったかというと、
トルコでは設計や完成段階で行政による適切なチェックが行われないことも多く、
また、一定の金額を支払えば基準に満たなくても認められてしまう「恩赦」
といった仕組みが時限法により合法的に存在してしまっていたようです。
その結果、耐震基準を満たさない建物が多く建てられてしまったのも大きな要因のようです。
経済発展を重要視する政策を行った結果、このような被害を招いた「人災」であるとも考えられそうです。
日本は大丈夫?
日本も地震が多い国です。その為日本でも耐震基準が設けられていますので、震度6~7程度でも倒壊しないような基準となっています。
ただ、日本でも以前「姉歯事件」という耐震偽造事件が起こりましたが、その翌年、
建築基準法の改正がなされ、構造計算書の二重チェックに加えて、申請書類に不備があった場合は、最申請させるなど厳しくなりました。
また、構造計算適合性判定制度が導入され、一定以上の高さのある構造物は、第三者機関による構造検査を義務付けることとなります。
このように、日本の耐震基準はかなり厳しい基準になっているようです。
しかしながら日本でも未だに旧耐震基準と言われる建物は多く存在しています。
耐震補強もなかなか進まないのが現状です。
今後日本でも大きな地震が発生した際に、今回のような甚大な被害とならないよう対策を進めて欲しいものです。
更新日:2023.02.23