ペアローンと連帯債務の違い

 

近年は住宅ローンを組む際にご夫婦二人で組むケースも多くなってきました。

単に収入合算で組むと言っても、ペアローンや連帯債務、連帯保証といった組み方があります。

「夫婦二人で組む＝ペアローン」という印象の方も多いかもしれませんので、今回はペアローンと連帯債務、連帯保証の違いについて説明いたします。

 

連帯保証については一番最後にご説明いたしますので、まずはペアローンと連帯債務の違いについてです。

 

ペアローン

 

ペアローンは、例えば5,000万円の融資総額だとすると、ご主人様が2,500万円、奥様が2,500万円、または、ご主人様が3,000万円、奥様が2,000万円、といった形で、一人ずつ申込するイメージです。

その為、申込書は二人分必要となります。

 

連帯債務

 

それに対して連帯債務はというと、夫婦二人で一緒に申込む、というイメージです。

例えば、ご主人様を主債務者、奥様と連帯保証人として、申込書は１つになります。

奥様は連帯保証人という立場ですが、登記を入れる際には持ち分を設定することになりますので、二人で申込むわけですから共同名義ということとなります。

 

収入合算＝ペアローンというイメージが強い方も多いですが、収入合算という意味合いとしては連帯債務を指すこととなります。

 

下記はペアローンと連帯債務、連帯保証の違いを表にまとめました。

 

 

その他の違い

 

一番の大きな違いは「団体信用生命保険」

 

ペアローンと連帯債務の一番の大きな違いは、この団体信用生命保険です。

ペアローンは、例えば3,000万円を組んだご主人様が万が一亡くなってしまった場合でも、3,000万円分しか残債は無くならず、奥様の分の2,000万円は残ることとなります。

それに対して連帯債務は、団体信用生命保険はご主人様（主債務者とすると）にのみかかりますので、万が一ご主人様が亡くなってしまった場合には、残債は「０円」となります。

逆に、奥様が亡くなられた場合でも、残債に変化はありません。

 

※ただし金利に上乗せのオプションとして、連帯債務の場合でもご主人様と奥様両方に全額の団体信用生命保険を付保する事が出来る金融機関もございます。

その場合は、ご主人様が亡くなってしまっても、奥様が亡くなってしまっても残債は０円となります。

 

住宅ローン控除に関して

 

それ以外は、共有名義になることや、住宅ローン控除もペアローンの場合はそれぞれ申込んだ金額にのみ、連帯債務の場合も登記した持ち分に対して適用となるという点では、違いはありません。

 

主債務者？連帯債務者？連帯保証人？

 

法律上では連帯債務の場合、主債務者はご主人様（奥様でも主債務者にはなれます）となり、奥様は連帯債務者ということになりますが、奥様にも全額の支払い義務が生じ、債権者（銀行）はご主人様と奥様どちらに支払いの請求をしても良い、ということにはなっていますが、現実的にはこのようなことは無く、あくまでも主債務者（ご主人様）への請求となります。

ただし、もしもご主人様に支払い能力が無くなってしまったり、例えば連絡が取れない状態となってしまった場合には、奥様が全額の返済を行う義務が生じます。

 

ペアローンの場合でも、片方のみの支払義務となることはなく、お互いの債務への連帯保証人となりますので、この点でもペアローンと連帯債務に大きな違いはありません。

 

住宅ローンの審査は何か違うの？

 

ペアローンはそれぞれの審査、連帯債務は収入合算して二人での審査になりますので、もしも奥様の収入が多くない場合や、派遣社員等の方は、状況によりますが、ペアローンは少し不利となる可能性もあります。

 

連帯保証

 

ペアローン以外に収入合算で住宅ローンを組むとすると、連帯債務の扱いは無く連帯保証のみ、という金融機関も多いものです。

 

先程の表を再度見てみると一目瞭然です。

 

 

住宅ローン控除も二人分は適用にならず、団体信用生命保険もご主人様のみ、法律上の支払義務に関しても、単なる保証人ではなく「連帯保証人」である以上、ペアローンや連帯債務同様に、主債務者と同じく支払いの義務があります。

 

そう考えると、住宅ローンを組む金融機関では連帯保証しか扱っていない等の場合以外には、あえて連帯保証を選択する意味は無いと言えます。

 

まとめ

 

ペアローンと連帯債務の検討をする際には、ご夫婦の収入のバランスを考える必要があります。

 

奥様側から見ると、万が一ご主人様が亡くなってしまった場合には、連帯債務は残債が０になるのに対し、ペアローンは自分で組んだ分は残債が残ってしまう訳ですから、

奥様の負担を出来る限り減らしたい、という場合は連帯債務がお勧めです。

※しかし、連帯債務を扱っている金融機関はまだ少数といえます。

 

ただし、万が一奥様が無くなってしまった場合に、残債が全く無くならないという状況は好ましくないと言う場合にはペアローンを選択されると良いでしょう。

 

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